ひがやすを技術ブログ

電通国際情報サービスのプログラマ

残業をなくすためにすべきこと

残業を悪とするチームを作ろうのエントリに対して、質の良い仕事をするチームを作ったとしても、そのチームにほかから仕事がまわされて、結局残業は減らないんじゃないかという指摘をいただきました。


残業を悪とするチームを作るだけでは全く足りない


ご指摘の点はその通りだと思うのですが、自分のところは、残業を悪とするチームが作れているし、「結局日本じゃ残業が減ることはないよね」みたいな結論で終わりたくないので、「残業をなくすためにすべきこと」をしっかり指摘したいと思います。


まず、仕事を定時に終わらせる能力を持ったチームを作ったとしても、他から仕事がまわされて結局残業は減らないという点です。実際に良くおこりそうな話ですが、ここに問題が隠されています。


他から仕事がまわされてくるというのは、その仕事は、時間をかければ誰でもできる付加価値を生み出さない仕事だということです。正直言って、付加価値を生み出さない仕事をしている限りは、残業を減らすことはできません。
なぜなら、あなたは、誰でもできることを分担してこなす単なる労働リソースとしてしか、会社は見ていないので、できる限り働かそうとするからです。


ここで理解しておかないといけないことは、なぜ、上司は残業させるように仕向けてくるかです。残業をさせるとそれだけ費用がかかるため、会社としては、できるだけ社員を効率的に働かせ、残業はさせないようにするのが経済的なはずなのに。


一つ目の理由は、残業代が気にならないケースもあるということ。例えば、若い社員は、残業した分、残業代がかかりますが、残業代が安いので、残業させても大してコストは増えません。
また、ある程度年齢を重ねると裁量労働制になり、360協定にかからない程度で、できるだけ働かせた方が、会社としては得なのです。


二つ目の理由は、残業代がかかっても、上司にとってはそれが問題にならない仕組みが、会社に存在すること。
どういうことかというと、基本的に上司は、プロジェクトが完成することで評価されます。コストは二の次です。ここが問題。コストは二の次なので、部下/下請けをいくら働かせても良いから、プロジェクトを納期通りに完成させようとします。だから、残業をさせるように仕向けてくるのです。


デスマになったプロジェクトのマネージャーがよくがんばったと高い評価を得るのは、SIerでは良くある話です。これも上記の仕組が原因なのです。


コストは二の次といっても、コストが予算を上回ると、なぜなんだという追求は受けます。そのときに、きちんといい訳ができるようにするために、各工程で実際にどんな問題が起こったかの問題管理票を書かせ、それらに実際にどれくらい時間がかかったのかを正確につけさせようとします。後から、これだけ問題が起こり、これだけ時間がかかってしまったので、工数も膨らみましたが、自分はちゃんと管理してましたというためです。


上司にとっては、時間はかかってもいいんです。自分がちゃんと管理していることが証明できれば、コストがかかったことが自分のせいではなくなるので。
上司にとっては、起きたすべてのことが、問題管理票に書かれていることが重要です。自分がちゃんと管理していることを証明することだから。
問題が起きたときに、それを問題管理票(一般的にはチケット)だとかに書くことは大切です。ただ、起きたあらゆることを問題管理票に各必要はない。例えば、そういう上司は、レビューのときの誤字脱字まで、管理しようとするでしょう。本来問題でないことまで、すべて自分が管理していることを証明したいがために、部下や下請けに余分な作業をさせるのです。


これが、上司が残業を押し付けてくる良くあるパターン。理解できたでしょうか。
理解できたら次に必要なのは、こういう上司にどう対応したらいいか。


こういう上司は、自分のことしか考えていないことが多いので、あなたがどうがんばってもどうしようもありません。さっさとその上司から離れることに全力をつくすべきです。あきらめて残業をするのではなくてね。


上記の上司ほどダメ上司ではなく、部下/下請けのスキルがある程度評価できて、プロジェクトを効率よく進めたいと考えている上司がいるとします。このときには、どうしたらいいのでしょうか。


ちゃんとした上司であったとしても、あなたがが付加価値の低い仕事をしているなら、残業はさけられないでしょう。理不尽な残業は、押し付けられないと思いますが、社員の稼働率を上げるために、どうしてもオーバーワーク気味に仕事がくまれるためです。


こんなときに、あなたがとるべき行動は、付加価値の高い仕事をすることです。付加価値の高い仕事をしていれば、上司もそれを妨げるような付加価値の低い仕事をさせるようなことは基本しません。付加価値の高い仕事をさせていたほうが、会社の利益になるからね。


事実、私は、今やっているプロジェクトに集中していて、それ以外のことはいっさいやらないと会社や周りの人たちに宣言しています。周りの人も付加価値の高いことをしていると思っているから、それに集中することを認めている訳です。


私としても自分の価値は、付加価値の高い仕事をすることだと思っているので、集中力がないときや、頭の回転が悪いときに仕事をして、出来の悪い企画やソースコードが仕事の結果として残るのが怖い。だから、頭の回転が速いときにしか仕事をしません。


確かに、付加価値の高い仕事をし、それを周りにも認めてもらうということは、かなり難しいことですが、エンジニアとして成功したければ、くぐり抜けなければいけない関門です。


「結局日本じゃ残業が減ることはないよね」みたいな結論で終わりたくない。きちんと努力して自分を磨き、付加価値の高い仕事ができるようになれば、残業を減らすことができる。そのように、前向きに生きていきたいと思っています。