ひがやすを技術ブログ

電通国際情報サービスのプログラマ

開発生産性が低い方が収入が多いって変だよね

開発生産性が低い方が収入が多い(人月がかかるほどお金がとれる)というビジネスモデルを根底から覆す可能性があります。開発生産性をあげればあげるほど収入が減ってきます。SIビジネスが立ち行かなくなる方向に向かうのです。

実際の現場では、開発生産性が低くて、人月がかかるほうが売上が増えるというのは、紛れもない事実です。大手SIerの開発手法が、生産性よりも失敗しないことを重視するのは、この事実が原因なのは間違いありません。失敗せずに多くの工数をかけたほうが売上が増えるのです。
だから、ソースコードと一対一に対応するような無駄なドキュメントを「誰が書いても同じようなソースコードにするため」なんて理由で書かせるのです。
詳しくは「誰が書いても同じコード」は大事なことなのかのエントリを参照してください。


営業は、売上で評価されることが多いので、営業の力が強いところは、売上至上主義に走りがちです。でも、最近は、そんな単純なことはなくて、ある一定以上の利益率を必ず求められます。もちろん、この辺の事情は、会社によって違いますが。
売上を増やすために、稼働率を上げようとして、多少赤字でも、受注しようとする会社は、社員は過酷な労働を強いられ、しかも、利益は上がりません。
一定の利益率がないと受注しない会社は、一時的には、稼働率が下がることもありますが、暇なときに社員が休暇をとることもできますし、忙しいときにはできないような研究テーマをやる余裕も出てきます。このような余裕は、会社の活力を上げるためには必要なものです。


プログラミングファーストによって生産性があがり、収入が減ってSIビジネスが立ち行かなくなるかというとそうはならないと思っています。
プログラミングファーストによって、ユーザは、これまでより早期思ったものが手に入ります。これまでより付加価値の高いサービスを受けることができるわけです。だったら、開発者にはこれまでより高い単価を払うべきです。高い単価を払ったとしても、生産性があがり、開発工数が減ることによって、全体の支払いが減るならユーザにとっては何の問題もないでしょう。
SIerにとっては、確かに売上は多少減りますが、利益率は上がりますから、経営的には問題ないはずです。成長期には、売上重視で、ある程度の規模に会社が達する(あるいは市場が成熟する)と、利益率重視に転換するのが、セオリーとしてあるからです。いつまでも、右肩上がり成長は無理だからね。
SIerの親玉NTTデータも利益率重視にシフトしつつあります。

これらを実現させるため同社では「量から質への転換」を基本思想と位置づけている。要するに、売り上げよりはむしろ、利益率に焦点を当てる。具体的施策としては、営業力の強化、育成とともに、開発プロセスの変革を重視している。開発の方法論やプラットフォームの統一化を進めることで、仕事の仕方の標準化を図り、原価率の低減化につなげる。また、グループ経営の効率的推進も大きな柱だ。グループ会社それぞれの役割の整理や、戦略的な購買体制確立で、発注量を生かし、調達コストの削減を図る。


世の中では、人月ビジネスは悪だという考えが広く広まっているようですが、別に人月ビジネスでも単価が高ければいいんじゃねというのが私の考えです。人月で見積りをするという習慣はわかりやすいから、正直なくなるとは思えない。だったら、人月見積りでも、儲かる(しかもユーザにもメリットがある)方法を考えるべきだと私は思うのです。