ひがやすを技術ブログ

電通国際情報サービスのプログラマ

IT業界は成功するチャンスの多い夢のある業界

泥問題、あるいは老害問題で、すっかり評判を落としたIT業界(SI業界)。他の業界へ転職しようと思った人、IT業界には入るまいと思った学生も多く出たことでしょう。
ネガティブな面は確かにあります。老害は一朝一夕にはなくならないことも確かです。
しかし、一方で、努力すれば、成功するチャンスの多い夢のある業界でもあるのです。

いまだにソフトウェアの世界では「下を走ってくる」奴が上に行く余地がどっさり残っている。理由は二つある。

一つはインターネットという別の高速道路網が存在すること。ソフトウェア「エンジニアリング」に限って言えば、こちらの高速道路の方が学校という高速道路よりもずっと充実している。しかも料金ははるかに安い。わざわざ「学歴高速道路」に乗るのはかったるくて仕方がないだろう。

しかし、もう一つの理由を忘れてはならない。それは、ソフトウェア「エンジニア」になるための投下資本が実に少ないということ。必要なのは、基本的にパソコン一台とネット回線だけだ。

IT業界は、学歴だとか、何十年もの修行だとか関係なく、今、何も持っていないとしても、努力しだいで瞬く間に成功できる世界なのです。

チャンスはいつだって転がっている。

iPongというのは、そもそも別になにかを真面目に研究したり、なにかをやろうとしたりしたわけではなかった。

全く異なる研究をiPod touchでやっていて、その副産物として偶然出来たものを、Youtubeにアップしてみた。
...
役に立つかどうかは二の次で、とにかくサイコロを振ってみる。

いい目が出たら、それから進路を考える。

そのためにはサイコロを沢山振ることと、一回のサイコロのコストをできるだけ減らすことが大切だ。

今回の話は、「サイコロ、振ってて良かった」という話になりそうだ。

Appleから、日本の独立企業としてはおそらく初めて、iPhone SDKの正式な開発パスをもらえることになった。

なんのコネもない極東の小さな会社の隙間時間で作られたジョークソフトが、思わぬ効果を産んだのだ。

ちょっとしたアイディアによって、運命が切り開かれていく。こんなチャンスがいっぱいある世界ってそうはないよ。しかも、学歴だとかコネとかお金だとか関係なく誰でも自由に参加できるのだ。

「そんなのマッチョだけジャン」という人がいそうだけど、弾言しておこう。
「がむしゃらに努力できない人は成功しない」「これはマッチョかどうかに関係ない」「どの業種かも関係ない」「がむしゃらに努力できる人だけが成功できるのだ」

自分のことも書いておきましょうか。10年間泥のように働いて花が咲きましたのエントリでは、10年泥のように働いてSeasar2という花が咲いたよってとこで終わっているんだけど、その時の実際の話。
2002年のころ、うちの会社でデスマが発生し、火消しのために大阪に行きました。詳しくは、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/higayasuo/20040607/1086565824
一度開発に失敗したチームを率いて、最初から作り直しました。大変でしたよ。半分は失敗したメンバだったので、みんなまた失敗するんじゃないかとおびえていたんです。
毎日ミーティングで不安に思うところをつぶし、必要とされている機能がいくつあるのかをみんな(お客も含む)に公表し、進捗も毎日公開しました。不安を解消するのには、全体の作業量と進捗度合いを見える化するのが一番だからです。
進捗の測り方は簡単。全機能中JUnitのテストが終わっているのはいくつなのかという数字を出しました。コーディングが終わったから50%だとか中途半端なことはしないわけです。
最終的には、700機能くらい作ったかな。1機能の粒度は、ユースケースを実装レベルまでブレークダウンしたくらいです。最初は、こんなたくさん作れるはずがないとみんな(私以外)思っていたんだけど、作れるかどうかよりも重要なのは、全体の作業量と進捗度をみんなで共有していること。
全体の作業量と進捗度がわかっていれば、足りなければ人を補給するなりできるので、最終的には、間に合わせることができます。もちろん、そのときもきちんと間に合わせました。
だめなのは、全体の作業量もわからずに、ただ人を投入することでしょうね。

そんな感じで、超泥のように働いたのに会社の評価が低かったわけですよ。この辺は、記事にも出ています。

比嘉氏は大阪で大きな開発案件を任され、「朝から夜の12時まで一所懸命働いて、デスマーチのプロジェクトを復活させた」ほどの仕事ぶりを見せた。

 しかし、そうした仕事にもかかわらず、比嘉氏への評価は「一番上から一つ下の評価」だったという。そうした経験から比嘉氏は改めて、こう思った。「管理職は組織を管理するのが仕事であって、エンジニアの技術の善し悪しはわからないし、エンジニア個人の生産性が高い低いは関係ない。会社という組織はエンジニアという個人を評価しにくい組織だと感じた」

もちろん、最高の評価をもらえると思っていたからショックでしたよ。
会社は、エンジニアを正しく評価できない。そう思った私は、社外で何か活躍する手はないかと考えました。そのときに、うまいタイミングで、羽生さんと組んだのが、24時間稼働の外貨取引システム無償DBMSで数百万円以上低減の案件です。
記事では、この後、niftyでとなっていますが、これは時代的にも間違いですね。
「自分を評価してくれないのは会社が悪い」と思って、くすぶっていても何もはじまりません。自分の立場を変えられるのは、自分しかいないのです。

オープンソースをはじめても、苦労しっぱなしですよ。会社は、仕事中にオープンソース活動をすることを認めてくれないからね。このときの思いが語られているのがこの記事です。
仕事でオープンソース・ソフトを開発したければ有名人になれ

そんな死に物狂いの努力の結果、次の年からは、100%オープンソースの活動をすることが会社から認めてもらえるようになりました。

SIerなんて変えることは難しい。経営陣の考えを変えることは難しい。そう思っている方は多いことでしょう。でも、思っているだけじゃなくて、なにか努力しました?

うちの会社は変わりましたよ。技術力のある人を重要視するようになった。うちの会社には、今年からライン職以外にプロフェッショナル職というのができました。プロフェッショナル職とは、ライン業務よりは技術的な能力を生かしたい人のための職種です。

技術的に優秀な人をラインマネージャにするとダメになるのはよくある話です。
詳しくはここ。
優秀な技術者をラインマネージャにすると「だめ」になる

技術的に優秀な人をそのスキルを生かしたまま会社のポジション(給料)を上げるための仕組みがプロフェッショナル職です。うちの会社は、ちゃんと技術者のことを考えているでしょ。

もちろん、私が変えたわけではありませんが、何らかのきっかけにはなったと思います。

努力したからうまくいくとは限らないけど、努力しなかったら何も始まらない。まず行動すること。
IT業界は、行動する人にとっては、成功するチャンスの多い、夢のある業界なのです。