ひがやすを技術ブログ

電通国際情報サービスのプログラマ

ゾウはイノベーションの夢を見るか

スターロジックから新しいサービス「ギョイゾー!」が発表されました。

私たちは長年にわたり、多くの会社さんにて業務のIT化を実現してきました。それらのノウハウを集約して生まれたのがギョイゾー!です。ギョイゾー!をITの専門家向けに一言であらわすと「ワークフローとデータベースの合体したもの」となります。ギョイゾー!には次のような特徴があります。

  • あくまでもオーダーメイドですから、自社の業務にぴったり合ったシステムを実現します
  • 余分な機能は一切ついていませんので、使いこなせないということがありません
  • 導入にかかる期間も費用も非常にコンパクトなので、すぐに導入効果を感じていただけます

詳しくははぶさんのこころをみてください。
今回は、イノベーションの観点から「ギョイゾー!」を分析してみたいと思います。イノベーションといえば、クレイントン・クリステンセンのイノベーションのジレンマイノベーションへの解が有名なので、その考え方を使います。
イノベーションは、大きく分けると2つのタイプがあります。持続的イノベーションと破壊的イノベーションです。
持続的イノベーションは、「顧客に高く売れるより良い製品を作るためのイノベーション」です。例えば、ハイブリットカーであるトヨタプリウスは、値段は多少高くても、環境に強い関心を持つ顧客にとっては、魅力のあるプロダクトです。
それに対し、破壊的イノベーションは、「ローエンドか新規顧客に安く売れるシンプルで便利な製品を作るためのイノベーション」です。破壊的イノベーションは、さらに「ローエンド型破壊」と「新市場型破壊」にわかれます。
「ローエンド型破壊」の例としては、現代やタタなどの韓国やインドの自動車メーカーがあげられます。多少性能が悪くても安いということが、価値を生むのです。
「新市場型破壊」の例としては、Wiiがあげられます。Wiiリモコンというシンプルな道具を使って、これまでゲームをしなかったような子供や大人を顧客に取り込んだわけです。
それでは、「ギョイゾー!」はどのイノベーションにあたるのでしょうか。「ローエンド型破壊」と「新市場型破壊」のハイブリッドだと思われます。これまで、システム開発のコストが高いことに不満を持っていたローエンドの顧客や、高くて買えないと思っていた(無消費の)顧客も対象にしているからです。
ローエンド型破壊を成功させるには、次の三つのポイントが重要です。

  1. 実績のあるライバルにとっては利益率の低い魅力のない市場であるか
  2. ローエンド市場に価格が低ければ性能面では劣る(がそこそこ良い)製品を買う顧客がいるかどうか
  3. ローエンドの顧客を勝ち取るために価格が低くても十分に利益を得られるビジネスモデルなのか

1は重要なポイントで、ライバルが本気になって反撃してくる市場だと、実績や規模で劣る新規参入企業は勝つことができません。この点は、「ギョイゾー!」は大丈夫そう。たいていの会社は、98,000円からスタートする開発だとコスト的に見合いませんから。
2は私には予想できませんが、3は自信を持ってサービスを開始しているところを見るときっと大丈夫なんだと思います。
結論を言うと、マーケティングの理論的には、価格が低ければ性能面では劣る(がそこそこ良い)製品を買う顧客がいれば、「ギョイゾー!」が成功する確率は高いように思えます。
理論で現実を確実に言い当てることはできませんが、理論にあっていないよりは、あっている方が成功する確率は、高いでしょう。
超客観的に書いてみましたが、本で理論を学ぶだけでなく、それを現実の世界に当てはめて、いろいろ考えてみることは、重要です。また、考えるだけでなく、実行してみることはさらに重要なことなのです。2008年も、いろんなことするのでお楽しみに。