みえてきたSpringの戦略

ロッドジョンソンのこのエントリHibernateの中の人のエントリをみるとSpringの戦略が大体見えてきます。
まず、Springの現状を整理すると

  • VCから出資を受けた
  • 教育中心のビジネスモデルでは、VCの期待するリターンを稼げない

ということ、意外なのは、サポートはあまりビジネスになっていないということですね。
教育のビジネスは、長く続けるのは、実は難しいんですよ。一度教育を受けたお客様は、次の案件で引き続き同じプロダクトを使う場合でも、教育は二度は買わないから。ビジネスを継続させるためには、新規のお客様が、増え続けなければいけない。それに対して、サポートビジネスは、案件が続く間、サポートフィーを払ってもらえるし、次のプロジェクトでもきっと、サポートを買ってくれる。
教育ビジネスは、かならず人を張りつけなければいけないので、スケールしにくい。売上を増やそうと思えば、人を増やさなければいけない。それに対して、サポートビジネスは、人が必ず張り付いてなくても良いし、サポートを買ったお客様がかならずサポートを使うわけではないので、少ない人数でそれなりの数のサポートをこなすことができます。
つまり、Springは、今の教育中心のビジネスモデルを変えなければいけない。少人数で、売上を増やすには、サポートビジネスあるいはライセンスビジネスに向かわなければいけない(それ以外の選択肢もあると思いますが)わけです。
Spring portfolio(Springの持っている製品ライン)のサポートビジネスは、現状それほど収益を上げていないので、そこで思いついた戦略が、JBossのようにサーバ製品を作って、そのサポートを売ることです。Java EEのサーバを作るのは大変なので、最もミニマムで人気の高いTomcatを買って、マイサーバを作ろうとしているわけです。
しかし、Spring独自サーバだとみんな買ってくれないかもしれない。だから、何らかのお墨付きが欲しい。そのお墨付きを得るために入ったのが、Java EE6のワーキンググループです。Java EE6では、プロファイルといって、フルスペックの仕様ではなく、いくつかの仕様をピックアップしたサブセットを定義できるようにしようとしています。ミニマムなプロファイルを作り、それをSpringサーバが満たすことで、お墨付きを得ようとしているのです。
というSpringの戦略がまぁわかるんだけど、うまくいくかは疑問。既に「オープンソースアプリケーションサーバ」というカテゴリには、JBossというNo1のプロダクトがあるわけです。マーケティング的には、あるカテゴリにNo1のプロダクトがある場合、そのプロダクトをひっくり返すのは、普通無理です。単にbetterなだけでは、ひっくり返せない。それこそ、圧倒的な体力や技術力の違いがなければひっくり返せないのです。ひっくり返した例として、ブラウザにおけるマイクロソフトネットスケープの戦いがありますが、SpringがJBossに対して、圧倒的な違いを持っているとは、あまり思えません。
SpringがJSFの実装をしているという話も、この戦略にもとづいてますね。自分たちのサーバに足りないパーツを自分たちでできるだけ埋めたいというわけです。これ自体は、別に悪いことではありませんが、これまで、「他とかぶるプロダクトは作らない」「エコシステム重要」といっていたのと違ってくるので、Springから離れる人たちも出てくるかもしれません。
マーケティングの法則的には、No1のプロダクトのいるカテゴリに進出して、成功する確率はかなり低いといえます。おいおい、Seasar2だってSpringというNo1のいるDIのカテゴリに進出したじゃないかという方がいるかもしれません。そして、そこそこ成功している(と思う)。
Seasar2がそこそこ成功した理由は、S2Daoと抱き合わせで販売したためです。S2Daoは「設定ファイル要らずのO/R Mapper」というカテゴリでは、日本で最初に、認められたプロダクト(だと思う)だったので、そこそこ成功したのです。
Springがサーバの分野に進出したいのなら、何か新しいカテゴリを作って、そのカテゴリ内で勝負するのがいいと思います。